東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

この本の東京は、欲望渦巻く殺伐とした所で、
リリーさんが幼少を過ごした筑豊の方が、田舎で貧しい所だけど暖かく居心地よく思える。
でも、リリーさんが東京に、母子家庭で一緒に育ったお母さんを呼び寄せてからは、(オカンの癌闘病も同時に始まってるのだけど)
オカンと一緒に東京に住む事で、オカンとリリーさんの周りに人が集まり、東京が生まれ故郷以上に暖かく大切な居心地の良い場所になっていて、良かった。
ウサギ飼いなので、個人的に、ぶどうとパン、という二匹のオスのウサギが出て来る場面が、切なかった。

オカンが口うるさいけど、オカンの死後に小銭をためて結構な額になってるのが切ない。
オカンが危篤になり、またオカン死後にオトンと上手く行くようになったのも切なかった。

オカンの臨終間際の場面は、目が離せず、泣きながら読んだ。

アフリカの昔ばなしで、月に仕えていたウサギが地上の人間に、伝令をする話(死を恐れなくて良い、と伝えるはずが、ウサギがアベこべの、人間はいつか死ぬのだ。と伝えた話)が何か良い。

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~