【都条例反対】永井豪以降、強姦・未成年の殺人が減っている件【山本弘先生の日記】

非実在青少年問題について
転載、リンク自由ということなので貼ります。
[mixi] 山本弘さん | 目に見える形で反論を提示する
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1439171794&owner_id=365376

 日本の少年マンガの中で、性的描写や暴力描写が頻出するようになったのは、1960年代末からである。その牽引役が永井豪氏であることは言うまでもない。もちろん他にも多くのマンガ家がいたのだが、最も有名で、当時の子供たちに最も影響力があったのは、この人だと思って間違いなかろう。

 

主要作品   連載期間
ハレンチ学園』1968〜72
『あばしり一家』1969〜73
デビルマン』1972〜73
マジンガーZ』1972〜74
キューティーハニー』1973〜74
バイオレンスジャック』(週刊少年マガジン版)1973〜74
『イヤハヤ南友』1974〜76

 永井氏の人気の絶頂期が60年代末から70年代後半であったことが分かる。
 その作品のどれも、未成年の全裸、セクハラ、下品なギャグ、暴力描写、残酷描写などがてんこ盛りである。正直、今の少年マンガのエロ(『To LOVEる』とか)なんて、永井豪作品に比べれば生ぬるいぐらいだ。もちろん当時、PTAなどに「有害だ」とさんざん叩かれた。
 規制推進派によれば、こうした作品は「青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」ということになろう。つまり永井豪のようなマンガが増えることによって、
青少年の性犯罪、自殺、殺人などが増加していたはずである。
 実際はどうだったか。青少年によるレイプ、自殺、殺人の推移を見てみよう。

  • 強姦被害者数

http://kangaeru.s59.xrea.com/G-youjyoRape.htm#G-youjyoR1-2
 60年代後半から急降下している。

  • 各年齢層10万人当たりの若者自殺率

http://kangaeru.s59.xrea.com/G-Jisatu.htm
 1965年からほぼ横ばい。

  • 未成年の殺人犯検挙人数

http://kangaeru.s59.xrea.com/G-Satujin.htm
 60年代後半から、すごい勢いで急降下!


 無論、大勢のレイプ犯の中には、永井豪作品に刺激されて犯行に走った者が何人かいた可能性は否定できない。だが、それは実証できない。
 たとえ何人かそういう奴がいたとしても、この時代の急激な犯罪率低下の波に飲みこまれ、データからは見えなくなっている。

 さらに、規制推進派の主張からすると、青少年向けマンガの表現規制が日本よりはるかにきびしいアメリカや韓国に比べ、日本の犯罪率は高いはずである。
 現実はこうだ。

  • 人口1000人当たりのレイプの件数

http://www.nationmaster.com/graph/cri_rap_percap-crime-rapes-per-capita
 日本は65ヶ国中54位。アメリカ9位、韓国16位。

  • 人口1000人当たりの殺人

http://www.nationmaster.com/graph/cri_mur_percap-crime-murders-per-capita
 日本は62ヶ国中60位。アメリカ24位、韓国38位。

  • 人口1000人当たりの若者による殺人

http://www.nationmaster.com/graph/cri_mur_com_by_you_per_cap-murders-committed-youths-per-capita
 日本は57ヵ国中57位! アメリカ14位、韓国39位。


 少ねー! 日本の犯罪、少ねー!  これは世界に誇るべきだ。
日本はこれだけエロマンガエロゲーが氾濫しているにもかかわらず、世界の中でも、とてつもなく犯罪の少ない国なんである。


 さらにアメリカのデータを見てみよう。
 アメコミ・ファンならご存知だろうが、アメリカでは1949年ごろから反コミックス運動が高まった。
当時のコミックスには、残酷なシーンやセクシャルなシーン(斧で切断された首、目をナイフでえぐられようとしている女性、ムチで打たれている女性、きわどい衣裳で踊る女性、下着姿で縛られた女性などなど)が多く、それが青少年に悪影響を与えると騒がれたのである。

出版社やニューススタンドには「俗悪なコミックスを売るな」という抗議が殺到。
一部の地方では、大量のコミックスが学校の校庭などに集められて燃やされた。


 1954年、合衆国議会の少年非行対策小委員会は「コミックブックと非行」と題するレポートを発表、青少年に悪影響を与える可能性のある表現を規制するよう、コミックス出版界に勧告した。


 これを受け、全米コミック雑誌協会は「あらゆるコミュニケーション・メディアの中でもっとも堅苦しい」と彼ら自身によって評されたコミックス・コードを制定した。
1954年8月26日のことである。


 暴力表現や性的な表現にきびしい規制が設けられた結果、コミックス界全体から活力が失われた。そのため、読者の多くがコミックスを買わなくなった。
コミックス・コード制定前、コミックス誌は650タイトルもあり、毎月1億5000万部も発行されていたのだが、ほんの数年で半減してしまった。多くの出版社がコミックスから撤退した。
フィクション・ハウス社やベター社など、倒産した出版社もいくつもある。



 その結果が上のグラフである。アメリカの指標犯罪(凶悪犯罪や窃盗犯)の件数をグラフにしたものだ。

 まさに一目瞭然! コミックス・コードが施行された54年以降、アメリカの犯罪は減るどころか、急カーブを描いて上昇しており、1980年には3倍にもなっている!
 ちなみにこのグラフは、前田雅英『少年犯罪』(東京大学出版会という本から引用したものである。

 そしてこの前田雅英こそ、今回の「東京都青少年の健全な
育成に関する条例」の改正案を出した東京都青少年問題協議会
の専門部会長
なのである。

 どうなってるんだろうか。前田氏は自分の書いた本に載せた
グラフの意味を理解していないのか。

  • 追記

規制によるメリット
・表現を規制すれば青少年への悪影響が少なくなって犯罪が減る。
(ただし証明されていない。データは正反対の相関を示している)



 規制によるデメリット
・表現を規制すれば逆に犯罪が増える可能性がある。
(因果関係は証明されていないが、相関関係はある)

出版業界、アニメ業界、ゲーム業界が打撃を受け、多大な経済的損失が生じる可能性が高い。
冤罪事件や言論弾圧に悪用される危険がある。

 グラフを提示するとともに、「このメリットとデメリットを比較してください。あなたなら規制に賛成しますか?」と問いかけてみるというのはどうだろうか。

  • 追記2

上記の山本弘先生の日記のコメントで

文中でも書きましたが、相関があるから因果関係があるとは言えません。
 たとえば家庭用ゲーム機が増えてきた時期にAIDS患者が増えたからといって、「AIDSの原因はゲームだ」とは言えないわけです。
 ですから、これだけのデータから「表現を規制すれば犯罪が増える」とは決して言えません。せいぜい「その可能性がある」ということぐらいしか。  大切なのは、「表現規制と犯罪の発生に正の相関は見当たらない」ということです。表現を規制したら犯罪が減ると考える根拠はない。
 だからそこで、メリットとデメリットを比較する意味があるんです。「メリットがあるかどうか分からないけど、とりあえず規制した方がいいのでは」という考え方をする人がいるかもしれない。そういう人たちに対し、デメリットも同時に提示しなくては意味がありません。

という先生ご自身のコメントがありましたので、”追記”の文章を追記引用させていただきました。

上記の日記の山本弘先生のコメントより

 

僕としては、こうしたデータで規制推進派の中心人物たちを説得できるとは思っていません。彼らは最初からデータなど眼中にない人たち、論理など通用しない人たちですから。
 しかし、この問題について詳しくない人たち、規制の効果に半信半疑の人たちを説得することは、十分に可能だと思っています。

 ニコ動のアンケートでは、今回の条例案について「知っている」という人には反対が多く、「知らない」という人には賛成や「わからない」が多いという傾向が出ています。
http://www.nicovideo.jp/watch/nm10048937

 TBSラジオの番組でも、番組の最初では「賛成18%、反対70%」だったのが、最後には「賛成15%、反対75%」になってます。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9990294

 つまり、この問題をよく知らないとか、分かっていないから賛成する人がけっこういるんですね。知っている人ほど反対する。

 アンケートでは反対意見が多いように見えますが、実際には、ニコ動のアカウントを持っている人や、こういうラジオ番組を聴く人は、もともとこの問題に興味があった人が多いでしょう。
 日本人全体ではまだまだ知らない人が多く、よって、賛成派のパーセンテージはもっと多いでしょう。

 そういう人たちを説得することにより、賛成派を少数派に追いこむことが必要だと思っています。「日本人の大半が反対している条例を、なぜ可決するんだ」と言えるわけですから。