酸素は鏡に映らない(講談社ノベルス)上遠野浩平

久しぶりに再読。
子供向けに元々書かれたので、上遠野先生のライトノベルの作品より読みやすく、展開が速いかもしれない。
電撃文庫マガジンで『ヴァルプルギスの後悔』の連載を追っているので、“博士“の“ムーン・リヴァー“の正体とか、
オキシジェンが凄い動き(ジャッキー・チェンみたいな)をした話しを雑誌の連載で見た後で読むと、読後の感想が違います。

第20炎 「酸素と魔女」

作品内作品のゼロサンダーも、今見ると宇宙から敵がやって来て科学者が…云々という設定が、
執筆から4年経っているので、途中に『ヤマト』の実写版映画があったりで、
(4年前当時は深夜特撮の『牙狼』みたいな太古からの闇の一族が…とか、こちらも闇の力を利用して…の設定が流行ってた。)
今もそうなのですが、当時はゼロサンダーの設定が、すごく斬新に感じて、
でも4年経つと斬新さが薄くなっているという感じを受けます

原発事故があったから、超科学の設定は、もしかしたら、しばらくメジャーには、ならないかもしれない。
(余談、『牙狼』をウイキで調べたら、上遠野先生の2006年の『オルフェの方舟』が何故ギリシャ神話や“継承“がテーマになっていたかがわかった。 ※あとがきに「南米の映画がモデル」と書いてありますが時期的に・・・。)
そういえば『酸素は鏡に映らない』も“継承“がテーマの一つになっているな…。
4年経って冷静に読めるようになり、当時の特撮の資料を調べてみて
あえて、遠いモチーフを使っているが、当時、上遠野先生が『牙狼』にハマっていた(かもしれない)のが伺える作品です。

追記:当時「狼と香辛料」が流行し始めてて、「経済」や「金貨の質量」のモチーフなども混ざっています。

でも、それだけでなく、ゼロサンダーの熱さと、日常の淡々とした、ややくたびれた感じや、オキシジェンが日常を楽しんでいて、それに和んだり…最後に架空の作品が現実と交差する点が二カ所出て来てて(200ページ(現実が舞台)と230ページ(渦魔空間が舞台))、読むと熱い気持ちになる作品だった。
あとがき、で上遠野先生がツンデレな様子に和んだ。
最後の5行くらい。

参照>http://d.hatena.ne.jp/Naduna/20110509
あとがきは上遠野さんの書き下ろし。「U氏」=宇山さん、「彼に憧れていた人」=太田さんの事だと思う。

上遠野浩平マニアとしては、『ヴァルプルギスの後悔』(12月?に出る4巻)と合わせて読んでほしい。
可能なら『ブギーポップ・スタッカート ジンクスショップへようこそ』も読んでみて欲しいかな。

追記:再読したら、表紙の主人公の健輔の、お姉ちゃんの絵里香(守雄のファン 守雄=ゼロサンダーの俳優)がさりげなく重要なことを行って、話しを進めていて・・・それを健輔が眺めて、あれこれ思って、オキシジェンと会話する、みたいな構造になっていて「へー」と思ったり。

酸素は鏡に映らない (ミステリーランド)

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追記:自分自身をコントロール(対人関係を客観視?)できれば、自分自身の心の世界の王になれる、というイミの話を、熱血ヒーローに絡めて、ほのぼのと切ない。主人公がヒーローになっている訳でなく、傍観者なのが上遠野作品テイストというか、そんな感じ

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狼と香辛料 (電撃文庫)

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